薬局の中でのエピソード紹介コーナーです。いろいろなお客様との会話の中で、教えていただくことが多いので、日記にしてみました。参考になれば幸いです。
個々の症状については、どうぞお気軽にご相談ください。
来られた時は、顔も手も足も、掻き崩した傷だらけで痛々しいほどの状態でした。9か月かかりましたが良くなってきました。
子育ての睡眠不足でなかなか改善しなかったり、夏に汗で悪化したりで時間がかかりましたが、しっかり続けてもらえて良かったです。
湿疹は、脾胃が弱ったり・ストレスでバリア機能が低下したり・血流が悪くなったりしたことが原因で、患部に滞った水分が熱を持つことなどで発症すると考えられます。そのため、皮膚の下の熱をとる作用の生薬を基本に、皮膚を作る力をつけるための処方や、血流をよくする処方で滞ったものを流し栄養を補給して直していきます。夏は余分な汗を鎮める漢方、不眠でイライラが出ればストレスの漢方、冬はカサカサが酷いので潤わせる処方、と悪化させている原因に合わせて処方を変えていくので、治ってもらうためには「問診」がとても大事だと思います。(特にストレスはすぐに皮膚にでるので要注意です。)
湿疹が顔の場合、上半身の場合、下半身が中心の時と、それぞれ漢方が違うので使い分けも大事。
写真は手だけですが、顔と足もきれいになってほっとしました。本来の皮膚を作る力を取りもどせたら、やっと安心。これから胃腸の立て直しできれば、再発しない体になれると思います。胃腸は体づくりの基本です。労わって欲しいものだと思います。
漢方薬は、湿疹についても多彩な処方が用意されています。
「保湿」「炎症を抑える」などを目指す西洋医療の薬との違いは、湿疹を起こす原因をターゲットにしているところです。漢方では、湿疹は、皮膚の下に「水」が滞ったために「熱」を持ち炎症を起こしてかゆみを起こしていると考えます。
湿疹は、初期の「紅斑期」(赤い湿疹の時期)や「丘疹期」(皮膚が盛り上がる時期)から、「小水疱期」(水膨れの状態)・「膿疱期」(水泡が化膿した時期)・「びらん期」(ただれて、ジュクジュクしている時期)・「結痂期」(かさぶたの時期)・「苔癬化期」皮膚が厚く荒くカサカサになる時期)・「落屑期」(角質が剥がれ落ちる時期)を経て治癒します。
このそれぞれの時期に合わせて処方が変わります。
「紅斑期」は、皮膚の毛穴を開いて発散させる処方や熱を取る処方。
「丘疹期」「小水疱期」は、熱を取ったり水を抜く処方。
「膿疱期」は化膿を止める処方。
「びらん期」「結痂期」は水を抜いたり、治癒後の新しい皮膚を作る処方。
「落屑期」は皮膚を作る血を増やしたり、潤したりして直りをサポートする処方。
実際はこれらの症状が入り混じって現れたり、上半身と下半身で状態が違っていたり、なかなか難しいですね。
さらに大人はストレスでの悪化が加わっているので治療は難航します。それだけ、いろいろなことを見直さなければならない状態に体が陥っているということですね。
実際に症状を見ながらでないと漢方は決められないので、お近くで相談できるところを探してみてください。
体からのSOSなので、忙しい中でも向き合ってもらえればと思います。
もうすぐ梅雨ですね。
私も以前はグッタリしてると家の者に「ああ、雨だからねえ」と言われた季節ですが、漢方の「去湿剤」「去痰剤」で、今はずいぶん快適になりました。
雨の日や低気圧時の不調は、「水滞」が原因。
体中の細胞に余分な水を溜めやすい「水滞」の人は、普段から体の中が水でヒタヒタ。
なのに、体の外まで湿気が多くなる時期は、水の抜けようが無くなって、体全体が重だるく、頭重感や頭痛、吐き気、めまい、肩こりが起こりがちです。
対応する漢方は、症状に合わせて、白朮・蒼朮、・茯苓・沢瀉などを中心に生薬が配合されています。
だから、服用すると、尿が気持ちよく(回数は変わらないけれども量が増える)出てスッキリします。体が軽くなる感じです。
日本は湿気が多い国なので、「水滞」さんは多いようです。
余分な水が滞ると、「気」「血」も滞らせたり、冷えの原因になったり、逆に熱をもって湿疹を起こしやすくなったりします。体の中の「水を整える」ことはとても大事です。
漢方は利尿剤ではないので、無理に水を排出するのではなくて、バランス良く余分な水を抜いてくれます。
雨の日が憂鬱な方、どうぞご相談ください。
漢方で不思議なのは、同じ時期に同じ処方が何人も出ることです。
最近の1位は気の滞りの漢方です。
生真面目で几帳面な方、きちんと仕事を済まさないと気が済まない方に合います。
こういう方が煮詰まると、のどが詰まったり、食べ物の通りが悪くなったり、声が出しにくく、しわがれ声になたり、ガスが溜まったり、ゲップが多くなったりします。
これは、ストレスの初期のSOSです。早めに服用すると2週間くらいで、
「クドクドと同じことばかり考えてたのが治った」「ネガティブ思考だったのが、前向きになった」「喉がつまってウッとなっていたのが無くなった」と、その効き目に驚かれます。この段階で気のめぐりを良くしておくと、ストレス障害をこじらせずにすみます。不眠の漢方と一緒に服用して、眠りの質を高める手伝いもしてくれます。お気軽にご相談ください。
気が滞った時は、綺麗な風景を眺めながらの散歩がお勧めです。ゆっくりした時間を作ってくださいね。
頻尿や尿失禁の相談が続ています。
男性の場合は、前立腺肥大が原因の場合が多いですが、精神的な理由の場合や、前立腺には異常がなく原因がはっきりしない場合も多いですね。生きる力や成長・老化に関わる腎膀胱経に効く漢方や砂嚢エキスやなどが使われます。
女性で閉経期以降の方は、骨盤底筋弛緩による症状が考えられるので、男性と同じ漢方などの他に、平滑筋の緊張を高める漢方で改善される場合があります。
神経的な原因での頻尿などには、厚朴や芍薬などの生薬が入った漢方がお勧め。
同じ症状でも、漢方は処方が異なりますので、薬局でご相談ください。
長引く咳のご相談が多いです。
同じ咳でも、その原因や悪化する要因などで、処方する漢方は変わります。
・夜にせき込む、のどがイガイガする咳には、肺を潤す漢方薬。
・ゼーゼー喘息のような咳や、真っ赤になってせき込む時には、気管のむくみを取る
漢方薬。
・気管が過敏になるアレルギーのようになった咳には、気管を広げる漢方薬。
・加えて喉の炎症があれば、炎症を鎮める漢方薬。
・咳のし過ぎで胸が痛むときは、柴胡やオウゴン、カロニンの入った漢方薬。
・ストレスの咳には、四逆散の加減方など
長引いた席には、短期間ですが2.3の処方の併用が必要です。
どんな時に酷いかなど、咳の状態をご自分で観察して相談頂けるとありがたいです。
鼻炎に使われる生薬 「細辛」(サイシン)。
根が細くて辛いので「細辛」と名づけられたとか。
作用は「肺を温め、冷えた痰飲(滞った水分)を去る」。
漢方では、鼻炎は「冷え」と「水分代謝」を良くして直すとされるので、花粉症などのアレルギー性鼻炎(鼻水・くしゃみ)にも、細辛が配合された「小青竜湯」「麻黄附子細辛湯」「苓甘姜味辛夏仁湯」などが使われます。体質に合わせて選んで、花粉の季節を乗り切ってください。